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とあるエンジニアの雑記帳

3.11東日本大震災からインターネットの脆弱性を考える

東日本大震災から約9ヶ月が経過しましたが、今後考えなければならない問題として、国内のインターネット網、インターネット資源の東京一極集中が挙げられます。
去る2011/3/11に発生した東日本大震災では、インターネットがインフラとして重要な役割を果たしました。しかし、それは運が良かったと思った方が良いかもしれません。首都直下地震が発生した場合、インターネットは使えなくなるかもしれません。
その問題点をざっとまとめてみました。ざっと書いたので、間違いがあった場合は改めて直します。

IXの東京一極集中

国内のインターネットトラフィックの大半は東京に一極集中しています。ほとんどのISP(インターネットサービスプロバイダ)は都道府県等の地域ごとに接続点は設けられていますが、その先の経路としてはプロバイダの設備を経由して、東京のIX(インターネットエクスチェンジ)を経由してインターネットに出る(他のサーバに接続される)といった流れになっています。
このため、首都直下型地震が発生して、ネットワーク設備や回線が損傷した場合、全国的あるいは東日本全体においてインターネットが使えなくなる可能性があります。
フェールセーフとして、大阪にもIXがあるため、大手プロバイダの場合はそちらに経路(ルーティング)が切り替わる仕組みになっているものと考えますが、これが正常に切り替わらなかった場合は、全くインターネットが使えなくなります。
IXの東京一極集中という問題は、以前から叫ばれていますが、一向に進まないのが現状です。地域IXはいくつかあっても、そのほとんどは有効活用されていません。また、ISPが地域IXを接続点として利用しているという話もほとんど聞いたことがありません。今までは集中しているトラフィックの分散という観点で必要性が判断されていましたが、これからは災害対策という観点からも検討していただきたいところです。

データセンターの東京一極集中

国内向けのWeb系サービスやWebサイトのほとんどは、大小を問わず東京都内のデータセンターで運営されています。一部はAmazon EC2や海外で運用されている場合もあるかもしれませんが、遅延や速度の問題もあり、ごく一部であると思います。
Web系サービスの場合はデータセンターとの距離という地理的なメリットでそのようになっている場合があります。Webサイトの場合は、レンタルサーバのサービス自体がたまたま東京のデータセンターで運用されていて、利用者はそのようなことをあまり意識していないというのが大半でしょう。
ここで問題となることは、上記と同じく首都直下型地震が発生して、ネットワーク設備が損傷した場合、国内向けコンテンツのほとんどが閲覧不能になる可能性があるということです。Googletwitter,facebookのような海外のサービスは海外との回線が生きていれば影響は無いと思いますが、国内向けのサービスやサイトはほとんどが閲覧できなくなるかもしれないということを考える必要があります。
最近では、関東と関西あるいは沖縄など、複数拠点にサーバを設置して災害に備える(ディザスタリカバリ)企業や、ディザスタリカバリに対応したレンタルサーバが出てきていますが、コストの問題もあり対応できているサイトはごくわずかです。
余談ですが、行政機関のサイトの場合は、大半が自前でサーバを運営しているため、とりあえず回線とサーバが生きていれば、輻輳(一時的にアクセスが集中して接続しづらくなる状況)による影響はあっても全く繋がらないという状況が発生する可能性は少ないでしょう。